安全性が高まったカラコンレンズ製法とその構造
レンズの仕組みで間違えやすいのが「製法」と「構造」です。似たような言葉ですが、「製法」は作り方です。「構造」は出来上がったモノに使われる言葉で、全体を形作る様です。部品同士がどうやってつながっているかです。ココを踏まえて説明していきます!
【製法】
- フルキャストモールド製法
- セミキャストモールド製法
- スピンキャスト製法
【構造】
- サンドイッチ構造
- ラップイン構造
製法とはレンズを作る方法です。カラコンでは安全性を高めるために技術の進歩が見られます。コレを証明するのが構造です。
よく、サンドイッチ構造とキャストモールド製法はどちらが安全ですか?という内容を見ますが、サンドイッチ構造はキャストモールド製法で作ることができます。つまり、どちらも安全です。
フルキャストモールド製法
あらかじめ決められた度数やカーブありきでつくられる製法です。凹凸の型に樹脂を流し込んで作られます。
ココからサンドイッチ構造になるには、出来たレンズに色素をプリントし、さらにもう一度凹凸の型に樹脂を流して成形します。色素がある部分はレンズ2枚の間に入り、目やまぶたの裏に触れることはありません。
ラップイン構造の場合は、最初から色素を練り込んだ樹脂を凹凸の型に流し込み、それを特殊なポリーマー樹脂で包んで出来上がります。薄くレンズを成型できるという利点があります。
セミキャストモールド製法
フルキャストモールド製法との違いは、出来上がったレンズにカーブや度数をフロント面(まぶたの裏に触れる方)を削って調整するということです。あとはフルキャストモールドと同じです。
スピンキャスト製法
凹型部分だけに樹脂を流し遠心力を使ってレンズを成型していく製法。回転数などを変えて度数を調整します。カラコンの場合は回転の際に染料を混ぜ重合させます。レンズ内部に染料が入り直接眼には触れません。しかし遠心力を使うためデザインに限界があります。カラコンよりもコンタクトレンズ向きの製法です。
サンドイッチ構造
2枚のレンズで着色面(染色・色素部分)を挟み込む構造です。2枚のレンズから作られているのでしっかりしたつくりになっています。色素部分は目に触れることはなく安全性は高い。しかし、レンズ自体の厚みは増し酸素透過率が低くなりやすい。
▲サンドイッチ構造のイメージです。
●サンドイッチ製法は、具材が横から見えるサンドイッチやハンバーガーをイメージさせますが、実際にはタイ焼きやタコ焼きのように具材(染色部分)は中にしっかりと入っています。
ラップイン構造
(Wrap-In Technology)ラップインテクノロジーと呼ばれる構造です。1枚のレンズ内に色素があり、その周りをレンズ素材で着色部分をコーティング(包み込む)。色素が直接目に触れない構造になっています。最近の主流でたくさんのカラコンにこの構造が見られます。
▲ラップイン構造のイメージ図
●ラップイン構造は高菜おにぎりを海苔で包んだような構造です。レンズ樹脂がお米で色素部分が高菜です。それを海苔で包んで外に出ないようにしているイメージです。
そもそも、カラコンレンズの何が心配なのか?
カラコンの安全性と危険性が騒がれ始めた時期はいつ頃でしょうか?
この時期と合致する世の中の流れがありました。それがネットの普及時期です。通販で簡単に買えてしまうカラコンに問題の原因があったようです。
当時の厚生労働省は、今まで矯正用のコンタクトレンズのみを薬事法の適用としていたのを改めカラコンすべてを薬事法の対象としました(平成21年11月)。それまでは、カラコンはファッションで使うサングラスと同じく雑貨扱いでした。(今でも名称はおしゃれ用カラーコンタクトレンズです)
大きな問題点は2つありました!
- 眼病トラブルの急増
- カラコンの低品質・粗悪品の氾濫です。
●今では販売店が周知徹底を行っていますが、当時の通販購入では処方箋なしに指導も受けずに着けるので、正しい装着やケアの方法を知らずにつけていて、眼のトラブルが起きていたようです。当然の結果だと思います。売る方の注意喚起と着ける方の意識と知識の低さが招いた結果です。以下はその当時、当たり前にあった光景です。
- 手を洗わずに着ける
- 全くレンズを洗浄しない
- レンズを長期間装着
- 着けたまま寝る
- 友達と貸し借りする
- 眼に異状があってもそのままつけるなど。
●カラコンを綿棒でこすると染料が出てくる。着色した部分が溶け出して目に触れる。すぐに破れる。
これはカラコンの品質がまだ不安定で安全よりもデザインが優先されていた結果です。今はカラコン自体に高度管理医療機器承認番号が付いていて安全が確認できたレンズのみが販売を許されています。
現在のカラコンは、販売店とカラコンレンズに高度管理医療機器承認があれば安心安全です。
カラコンレンズの製法・構造と安全性について まとめ
日本で売られているカラコンレンズは厳しい基準に合格したモノが販売されています。その安全基準を表すものが高度管理医療機器の承認です。この承認があれば、安心してカラコンを買うことができます。
★つまり、カラコンのレンズの製法や構造で安全性の優劣はあまりなく、大局をいうと認可を受けたショップ・レンズであれば、どの製法であっても問題がありません。
それよりも大事なことは、日々のケアと正しい装着、正しい知識です。
- 眼科医に検査をしてもらい処方箋を受けて購入しましょう。(通販の場合もこれに基づいて)
- レンズの注意事項を守る!決められた装用時間や装用方法を守りましょう。
- 適切なレンズケアを正しい用具で毎日きちんと実施しましょう。
- 保存液・レンズケースは、常に清潔な状態を保ちましょう。水道水はNGです。
- 目の健康を守るために、定期的に眼科で検査を受けましょう。眼のトラブルも早期発見で解決しやすくなります。
★これらが守られて、はじめて安全カラコンと呼べます!
カラコンの製法で選んではダメ